エフェクター細胞研、上場で問われる目論見書の妥当性

医薬品は発売できれば大きな売り上げを見込めるが、基礎研究から発売までたどり着くのは1万分の1以下という狭き門。ハイリスク・ハイリターンだからこそ、投資家は医薬品の開発段階に注目する。当然、投資家から資金を募るには、発売の見込みがある医薬品候補物質の数、つまり臨床試験に進んだ薬剤の数が重要となる。
(略)
 エフェクター研の目論見書17ページには次の記載がある。「同因子の医薬品としての完成を目指し、前臨床試験を終え臨床試験に入る段階にあります」。「前臨床試験」を既に終えて「臨床試験」に入る段階と読める記述だ。本誌が、実は「前臨床試験」が終わっていない点をただしたところ、エフェクター研の説明は二転三転した。
 3月29日の取材で金ヶ崎社長は、「誤解を招く表現があったとしたら…」と言い淀み、同社幹部の顔を見渡した。東大特任助教授を兼務する玉谷卓也・取締役研究部長が「同じ薬剤を使って海外の製薬企業が前臨床試験を終了させているので、『前臨床試験を終え』と書いた」と返答した。さらに、玉谷取締役はその会社と交渉中で、エフェクター研として前臨床試験を省略できる可能性があることも示唆した。
 しかし、この薬剤は構造が複雑なたんぱく質製剤なので、たとえ同じたんぱく質でも製造した工程が異なれば同一物質とは見なされないのが製薬業界の常識だ。玉谷取締役の説明は誤っているのではないか。その点について説明を求めたところ、川瀬正剛・執行役員経営企画室長が「本件をどう公表するか検討したい」と回答した。

 名証ライブドア証券は目論見書の表現はあくまでもエフェクター研の問題という立場だ。名証は、「目論見書の記載内容は我々の管轄外」(西川聰副社長)と言う。ライブドア証券も「会社さんがご判断される話」(樫埜由昭執行役員)と言う。上場企業が誤解を招きかねない情報開示をしても取引所や幹事証券には責任がないのなら、投資家の自己責任も問いにくいだろう。(大豆生田 崇志、坂田 亮太郎)

こんな感じで「通例」とか「常識」が読みきれない個人投資家とかが食い物にされるんだろうねぇ。ただ、前評判でも相当怪しかったので、その辺を確認出来てれば回避できてたろうって事もあるし。
ま、ネガティブな意見があった時こそきちんと耳を傾けてその原因を探るって事ですな(すげ一般論)。社会や制度のせいにするのは最後にしよう(笑